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(過ぎたことは忘れちまえ)つらつら書くなり
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久しぶりにスペインのCDなどを買ってしまった。
スペインのスペイン語の曲を聞くと、どうも感傷的になってしまうので避けていた(南米系なら大丈夫なんだけど)のだが、スペインで以前話題になったという歌手のことがネット上の新聞に載っていたのだが、ぜんぜん知らなかったのがちょっとショックで、脳みそを少しリフレッシュするために買ってみたのだ。このCDがすごくよかった。BEBÉ(赤ちゃん)という歌手です。まぁ全体的に女性向けの歌詞が多くて、意味がわかるだけにちょっとつらいけど、歌はうまいし、全体的に高品質であることは間違いない。なんというか、スペインの椎名林檎って言う感じだろうか。卑猥な隠喩も表現も多少あるんだけど、それだけで終わらない。そのなかで気になったものをひとつ紹介します。

Malo 邪悪

Apareciste una noche fría con olor a tabaco sucio y a ginebra
寒い日の夜に、くさいタバコとジンのにおいをさせながらアンタが現れた。
El miedo ya me recorría mietnras cruzaba los deditos tras la puerta.
ドアの後ろで神に祈りを捧げる間にも、恐怖が走ったの。
Tu carita de niño guapo se la ha ido comiendo el tiempo por tus venas.
かわいいお坊ちゃんの顔だったのに、時が静脈を走って食いつぶしたのね。
Y tu inseguridad machita se refleja cada día en mis lagrimitas.
アンタがマッチョな振りをしているのが、毎日私の涙に映るの。
Una vez más, no por favor. Que estoy cansada y no puedo con el corazón.
お願いだからもうやめて。アタシ疲れてるし、心臓が苦しいの。
Una vez más, no, mi amor. Por favor, no grites. Que los niños duermen.
お願いだからやめて頂戴、あなた。お願いだから怒鳴らないで、子供たちが寝てるのよ。

Voy a volverme como el fuego.
アタシは炎の化身となるの。
Voy a quemar tu puño de acero.
アンタの鋼のこぶしを焦がしてやる。
Y del morao de mis mejillas saldrá el valor pa cobrarme mis heridas.
そして、アタシのほっぺたの痣から、怪我の請求書が出てくるのよ。
Malo, malo, malo eres.
最低、最低、アンタって最低。
No se daña a quién se quiere.
愛する人を殴るなんてアリ?
Tonto, tonto,tonto eres.
バカ、バカ、アンタってバカ。
No te pienses mejor que las mujeres.
女より偉いなんて思うんじゃないよ。

Y el día es gris cuando estás.
アンタがいると一日中薄暗い。
Y el sol vuelve a salir, cuando te vas.
アンタが出てゆくと、また日が昇るの。
Y la penita de mi corazón yo me la tengo que tragar con el fogón.
胸の痛みを、アタシは我慢して飲み込むしかないの。
Mi carita de niña linda ha ido envejeciendo en el silencio.
アタシの綺麗なお嬢さん顔が、静かに年をとってゆくの。
Cada vez que me dices “¡puta!” se hace tu cerebro más pequeño.
アンタが‘クソ女!’って言うたびに、アンタの脳みそが縮んでゆくの。
Una vez más, no por favor.
お願いだからもうやめて。
Que estoy cansada y no puedo con el corazón.
アタシ疲れてるし、心臓が苦しいの。
Una vez más, no, mi amor.
お願いだから、もうやめてあなた。
Por favor, no grites. Que los niños duermen.
お願いだから怒鳴らないで、子供たちが寝てるのよ。

Voy a volverme como el fuego.
アタシは炎の化身となるの。
Voy a quemar tu puño de acero.
アンタの鋼のこぶしを焦がしてやる。
Y del morao de mis mejillas saldrá el valor pa cobrarme mis heridas.
そして、アタシのほっぺたの痣から、怪我の請求書が出てくるのよ。

Malo, malo, malo eres.
最低、最低、アンタってサイテー。
No se daña a quién se quiere.
愛している人を殴るなんてアリ?
Tonto, tonto,tonto eres.
バカ、バカ、アンタってバカ。
No te pienses mejor que las mujeres.
女より偉いなんて思うんじゃないよ。
Malo, malo, malo eres.
最低、最低、アンタって最低。
Malo eres porque quiere.
アンタは最低になりたがってるのよ
Tonto, tonto,tonto eres.
バカ、バカ、アンタってバカ。
No me chilles que me duele.
金切り声を上げないでよ、耳が痛いじゃない。
Eres débil y eres malo.
アンタは弱くて、しかも邪悪よ。
No te pienses mejor que yo, ni que nadie.
アタシより偉いなんて思わないでよ、アンタは誰よりも下等よ。
Y ahora yo me fumo un cigarrito y te echo el humo en el corazoncito.
そしてアタシはタバコをふかしてアンタの心臓に煙を吹きかけてやるんだ。

Porque malo, malo, malo eres tú.
だって、アンタは邪悪でカスでサイテーだもの。
Malo,malo,malo eres sí.
そう、アンタって最低、最低、最低。
Malo,malo,malo eres siempre.
アンタはいつでも最低、最低、最低。
Malo,malo,malo eres.
最低、最低、アンタって最低!

歌詞だけをみても、仲の悪い夫婦が喧嘩をして、
最後には女のほうが逆襲をするというような情景が浮かんでくる。
しかし、この歌はそれだけではとどまらない怖さがある。
説明しよう。
スペインは、一般的に男性優位の仕組みで成り立っているのだが、
近年では、そういった伝統的な社会構造が崩壊しつつある。
もともとスペインの女性はたくましいのだが、
社会構造の変化などで、男性全体の地位が沈下しており、
それを穴埋めするかのように,
ドメスティックバイオレンスの数が増加している。
男性優位の考え方と、社会情勢の変化による男性の地位の低下。
自分は偉いと思っていたのが、社会から突き放されてしまって、
自分の身の回りの人間に八つ当たりをする。
そんな構図がスペインでは多く見られる。
この歌が作られた2003年ごろというのは、
スペイン全土でDVの嵐が吹き荒れており、
DVに耐えかねた女性が、夫にガソリンをかけて焼き殺すという事件が、
一件だけでなく、何件も起きた。
恐らく、これらの事件から着想を得て、歌詞を書いたのだろう。
普通に聞いても女の怖さが垣間見られる歌だが、背景を知っていると、
今にも襲い掛かってきそうな女の姿が垣間見られて、
背筋に冷たいものが走る。

少ない単語数で、これだけの恐ろしい表現ができる書き手に脱帽だ。
ちなみに私の友人のスペイン人男性は,
「女性はバカでしょ」と言い張っていました。
焼き殺されなきゃいいけどねー。
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最近スペイン語の諺・名言辞典のようなものを買った。
読んでみると、スペイン人の思考回路がよくわかって面白い。

たとえばタイトルのこれ:
En cien años todos calvos.
「百年たてばみんなハゲ」

これって名言なのか?とも思ってしまいますが、
よくよく考えてみると含蓄がある。
つまりこういうことだ。
百歳以上まで生きる人もいるし、はげない人もいる。
しかしこんな台詞をはくようになるのは、
少なくとも十代後半でしょう。
つまり、百年経ったらほぼ間違いなく死んでいる。
死んで腐れば「骸骨」になるわけで、当然髪の毛も無い。

要するに、
「人はみな死ぬ運命なのだから、日々を一生懸命生きろ」
という意味なのだ。
しかしそれをはっきりとは言わずに、
冗談めかして言う所が、スペイン風というか地中海気質なのだろうか。

言いたい事をはっきりとは言わない例をもう一つ。

No te digo que te vayas pero ahí tienes la puerta.
「帰れとはいわんが、出口は向こうだ」

これは、帰れという意味ではなく、
こういう無礼な態度をすることを戒める意味だそうです。

スペインではお客をきちんともてなすということを、
大切にしているわけですね。
しかし、大切にするがゆえに、他人の細かい仕草が気になり、
不愉快な思いをする人が多かったのでしょう。
そういうところからこの言葉が生まれた。

よく、スペイン人は南欧気質でおおらかで暖かいなどといいますが、
この二つの例こそスペイン人の性格をよく現していると思います。
しかつめらしい態度をとる皮肉屋のおっさんが目に浮かぶようです。
本音と建前は何処の国でも共通ですな。
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